【SENSE×京大生】記録より、記憶に残すフルマラソン。ある京大生の「走ること」への想い

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大学中にやりたいこと。たくさんあるだろうが、「フルマラソン」もその1つかもしれない。京大生にも、各地のマラソン大会に出場している人は多い。ただ、実際走ったことが無い人も多いのも確か。42.195キロとか・・・想像もつかない!そんな人は、是非このリポートを読んで欲しい。

京都大学工学部4回生の鈴木智貴さんは、先日神戸マラソンを見事完走した。大学以前は陸上部に所属していたこともあって、走ることが好きな鈴木さんに、SENSE KYOTOへ自身のマラソン観や当日の食べ物にいたる細かい戦略などについて、詳しく寄稿して頂いた。フルマラソンに挑戦したいけど迷っているなら、1度読んで欲しい。実際に、具体的なマラソンへのイメージが湧くはずだ。



「記録より、記憶に残すフルマラソン。」

 フルマラソン。地味で単調な過酷スポーツとされていますが、実は奥が深い。最も知的なスポーツであると僕は思います。自分の限界を超えてストイックに取り組むだけがマラソンじゃないです(もちろん人それぞれですが)。今回、フルマラソンの魅力とその実体験を紹介させて頂きます。

●マラソンを楽しむ工夫

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結果が出るかどうかもわからず、先の見えないトンネルを延々走り続けるのはしんどいです。楽しもうとするには、工夫が必要です。練習を続けるのは難しくても、自分で考えて、方法論を工夫することは容易にできます。少し具体例をあげてみましょう。

1.レース当日までの食事の工夫

長いレースほど後半のスタミナが切れると普段から感じていた僕は、ある工夫をしました。レースの1週間前から炭水化物の量をコントロールしたらとても効果がありました。カーボローディング(※スポーツなどの場面で、運動エネルギーとなるグリコーゲンを通常より多く体に貯蔵するための運動量の調節及び栄養摂取法である。-Wikipediaより)はよく取り入れられている手法です。(久々に米を食べると、そのありがたさが身に染みてわかります。日本人でよかったと思います。)

2.日々の練習の工夫

問題があるとしたら質なのか量なのか。一定距離をゆっくり走ってそれで満足していないか(ランニング初めのときは、絶対的な走距離を確保できていない場合が多いので、ゆっくりでも続けて走れば効果は十分あると思います)。ある程度慣れてきたら、ゆっくり長い距離を走るだけではタイムは伸びません。心肺に負荷をかける必要があります。幸いこのあたりには、大文字山という絶好の心肺機能強化地帯があります。歩いても30分あれば楽に登れます。また忙しいからこそ、うまく時間をやり繰りする必要が出てきます。午前に授業→アパートの裏で短い時間でダッシュ5本、休日で時間がある→鴨川20キロゆっくり等、時間・場所・内容・強度の観点から練習に対して創意工夫の余地が大いにあります。

3.レース中の工夫

前半落として後半伸ばしていくのか、前半からガンガン行って後半なんとか維持したいのか。どのランナーをペースメーカーあるいは風よけとするのか、集団をかわして前に出るタイミングはどこか、給水は摂るべきかどうか、考えることは多くあります。

こうしてざっと挙げた中でも、かなり工夫できます。考えることは楽しいものです。方法論としてどれが正解というのはないから自己流を作ればいいし、こうして試行錯誤して得られた結果は、上位入選記録には残らかったとしても、自分の記憶には残ります。うまくいかなければまた試行錯誤すればいいのです。個人競技だから考えて取り組んだことが結果に反映されやすいのがマラソンのよさでもあります。

●神戸マラソンに出場

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PHOTO: JOHNNY LAI on flickr

今回僕が走らせてもらった第4回神戸マラソンに即して、自分がレース前からフィニッシュまで何を考えて取り組んだのか、紹介させて頂きます。「走らせてもらった」としたのは、周りの人への感謝です。出走者2万人にもなる大規模なマラソンですから、道路封鎖は欠かせません。多くの人を巻き込んでいます。交通整理スタッフの人を初め給水所のボランティアの方々、多くの人がサポートしてくれています。なにより大きな力になるのが沿道の市民の方々。途切れることなく声援が聞こえます。あの声援がなければ無理、といっても過言じゃないです。すばらしい環境で走らせてもらっていることを実感できます。

高校まで陸上部で走っていましたが、当時は長くてもせいぜい10キロが限界で、自分がマラソンを走るなどとは考えたことはありませんでしたが、ふとしたきっかけで4月頃から長距離を走り始めました。12キロ程度ゆっくりペースで走るだけでもきつかったのを覚えています。どうせ走るなら何か結果をと思い、しばしば短めのレースにもエントリーしましたがフルマラソンは今回が初めてです。

●前日は大阪のカプセルホテルで一泊

前日は受け付けのために神戸まで行き、大阪に戻り梅田のカプセルホテルに泊まりました。想像以上にカプセルでした。マラソン抽選結果後すぐにでも近場の宿をとるべきでした。夕食時、勝負飯である豚キムチ丼を出してくれそうな店はなかったので、うどん屋に入りました。炭水化物確保が目的なので、食事をするというより栄養補充です。うどん二玉とおにぎり一個を胃に収めました。夜はサウナで疲れをとり、その日は早めに寝ました。案の定、途中で雑音により目が覚めましたが。

●マラソン前の食事は?

当日は6時前に起き、おにぎり3個を食べました。その分ちょっと体が重く感じましたが、糖分不足を感じるよりましだろうとポジティブです。スタート地点の簡易トイレはもちろん最寄駅のトイレもしっかり埋まっているのがマラソン大会です。スタート2時間前から整列できるようになり、続々ランナーが集まってきます。いい位置をとるためにエントリー時の想定ゴールタイムを少し早めに設定し、当日は早めに並ぶのがいいのですが、待ち時間はひたすら寒い。30分前に粉末タイプのアミノ酸を摂取しスタートは万全です。

●スタート!

スタート直後から飛ばさず、前のランナーを伺おうと思っていました。ゲストランナーの山中教授の左を抜き、マイペースで行きました。抜かれることも多々ありましたが、後半巻き返すから別にいいか、くらいの感じです。

ハーフマラソンなら軽く自己ベスト更新では、と思うくらいの好ペースでした。足がすいすい前に出るので、何が良かったんだろうと考える程度に余裕はありました。前半までは、です。後半、30キロあたりから脚が重くなってきました。膝が上がらない。ペースは落ちる、ランナーに抜かれる、モチベーションは下がる、さらにペースが落ちるの悪循環です。神戸マラソンのゴールは海が近くて眺めがよいと聞いていたので、最後は笑顔でゴールしようと思っていましたが、そんな余裕どこにもありません。しかし、ラン後のご飯とお酒は格別です。終わったら美味しいご飯が食べられて、1週間ぶりにお酒が飲めると思ったら頑張れます。

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●そして、ゴールへ・・・。

3時間2分。目標には2分届きませんでしたが、工夫のしがいはあるなと思えます。26キロ地点で行ったトイレや後半の給食の取りすぎ等(バナナが美味しかった)、レース前の一工夫でなんとかなります。努力は大事ですが、試行錯誤の余地が大いにある、そう感じたフルマラソンでした。目標達成のために考えるプロセスこそが、楽しさに繋がっていると感じます。

今回縁があってこのような文章を書かせて頂けることとなりました。フルマラソンについて偉そうに書いてきましたが自分はまだまだ初心者です。拙い文章でしたが、ここまで読んでくれた方、ありがとうございました、そして少しでもマラソンに興味をもってもらえたらと思います。京都にはフルマラソンを始め、山岳地帯をコースにしたレース等、10キロ程度の大会が多くあります。考えることが好きな京大生、「試行錯誤するマラソン」にチャレンジしてみてはどうでしょうか。


一流のスポーツ選手は、試合前の食事まで完璧に気をつかう。あのキングカズは、試合の数日前から炭水化物しかとらないという。同じように、鈴木さんのマラソン前の食事に気を遣うところに、フルマラソンへの想いが垣間見えたように思う。マラソンは、足だけじゃなく頭も使うスポーツだ。鈴木さんの言うように「試行錯誤するマラソン」に、ぜひ挑戦してみてはどうだろう?

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【TOP PHOTO】:Hiroyuki Takeda on flickr

 【Special Thanks】:鈴木智貴さん

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