【京大から生まれる農業革命】でこべじカフェ創設者と3代目代表に聞く、でこべじカフェ運営の「本当の目的」

標準

規格外野菜を使ったおいしい料理が楽しめる場所があれば良い・・・。そんな想いから生まれた「でこべじカフェ」。創設4年目に突入し、大きく成長を遂げる一方で、そこには知られざる苦悩がありました。京大から農業の未来を変えるかもしれないでこべじカフェ。その裏側を、社会人になってからも農業を変えようと奮闘する初代代表と、その想いを未来に引き継ごうともがく3代目代表へのインタビューを通じて、ご紹介します。


世界では、生産された食糧の約半分が捨てられている。

そんなデータもある程、いま世界の食糧問題は深刻です。何が深刻かというと、世界には何億人もの人間が毎日十分な食事を得ることがない上に、将来の人口増加は確実視されているこの状況で、私たち人類は食べられる食事を半分も捨てているという事実です。そして、実はこの食糧廃棄には、日本も大きく関係していることをご存知でしょうか?食糧自給率が著しく低く、食糧供給の多くを輸入に頼る日本では、年間約2000万トンもの食糧が廃棄されていると言われています。これは、金額に直せば約11兆円分の食べられる食糧を廃棄しているということになります。

こうした問題に直面して、日本でも食糧廃棄問題の解決に、少しずつ動き始めています。そして、その動きは京都大学でも始まっています。それが、「でこべじカフェ」なのです。

●でこべじカフェって?

DECO-3RD-20

でこべじカフェとは、「でこぼこベジタブル」と呼ばれる規格外野菜を使った料理を提供するカフェです。京大近くのカフェスペースを貸し切って、1~2ヶ月に1度、カフェを営業しています。使われる規格外野菜は、京滋の農家に直接出向いて仕入れたもの。「規格外」といっても、調理してしまえば味はとても美味しい野菜。こうした野菜を使って毎回考案するオリジナルメニューは、でこべじカフェの大きな魅力となっています。

●でこべじ創設者と3代目代表に直撃インタビュー!

DECO-3RD-2

でこべじカフェの目的は、来て頂いたお客さんに規格外野菜のことを少しでも身近に感じて欲しいというもの。ただ、それと同時に、ある使命が存在していることをご存知でしょうか?今回、でこべじカフェを創設した初代代表で、現在広告代理店に勤める傍ら、日本の農業にイノベーションを起こそうと奮闘する、農学部食糧環境経済学科卒の阿部成美さん(写真右)と、3代目代表として奮闘した京都大学教育学部3年の岡田明穂さん(写真左)に、「カフェ運営」という先に描いた規格外野菜の未来を、聞きました。

-もともと、でこべじカフェを始めたきっかけ何だったんですか?-

阿部さん:私は初め、「RE-FOOD-DOOR-CAFE」という廃棄食材の中でも規格外野菜を利用したカフェを開き、その利益で食に苦しんでいる人々の支援をする団体に所属していました。団体のVISIONにはとても共感したんですが、活動を続ける中でいくつか疑問を抱くようになりました。第一に、規格外野菜を日本の廃棄食材の代表のように使っていましたが、正直自分では規格外野菜についてほとんど知識がなかったんです。また、第二に、カフェ運営の売り上げ金を寄付するという支援のあり方に、単純に疑問を抱いたんです。正直に言えば、カフェを開くよりも自分でバイトをして稼ぐお金の方がはるかに多く、カフェをわざわざ運営する意義が見当たらなかったし、送金したお金も本当に必要とする人に届いているかも分かりませんでした。当時は、達成感もそれほどなく、自分が偽善のような感はぬぐえなかったですね。

 

-そこで生じた疑問から、でこべじカフェ誕生につながったのでしょうか?-

阿部さん:はい。疑問を抱いてもやもやしていた当時、思い切って自分の目で規格外野菜を見てみようと、農家を訪問してみたんです。アポイントもせずに訪問したため、農家の人には怒られはしたんですが、そこで見せてもらった野菜が、とても衝撃的でした。ケースに大根がたくさん入っていたんですが、それらのほとんどが規格外野菜だと言うんです。正直、こんなに多くの野菜が規格外になっているのはビックリしたし、純粋にもったいなと感じました。また、綺麗な形をした野菜よりも、すこし曲がったり、二股に分かれていたりする野菜たちの方が親しみを覚えられて、「可愛い」とも感じました

DECO-3RD-16

こうした気付きを踏まえて、農家の方の「形が悪い野菜も大切に育てた野菜。同じように美味しいから食べて欲しい」という想いに答えるために、どうすればいいか考えました。そして行き着いた答えが、こうした農家さんの気持ちを汲み取るためという純粋な目的のために、改めて規格外野菜を使ったカフェを運営すればいいんではないかということだったんです。日本の食糧廃棄を失くすという少し大きすぎる目標ではなく、まずは目の前の農家さんが大切に育てた野菜を捨てなければ行けないという悲しい現状を少しでも変える。そのためならば、気軽に規格外野菜を多くの人に知ってもらい、味わうことができるカフェという形は、意味のあることだと思ったんです。

カフェを始めるに当たって、こうした野菜たちが、規格外で「かわいそう」ではなく、規格外でも「かわいい」ということを伝えたくて、それらを「でこぼこベジタブル」と命名し、でこべじカフェを立ち上げました

-なるほど。単にでこぼこベジタブルの存在を知ってもらうと同時に、農家さんの想いに答えるためという目的があったんですね。-

DECO-3RD-24

阿部さん:もちろん、カフェに来てもらったお客さんにでこべじの存在を知ってもらいたいという想いはあります。普段生活していて接するスーパーに並ぶ野菜たちはみんな「規格内野菜」で、でこべじに触れる機会はほとんどないと言っても良いと思います。そういう中で、でこべじカフェという場所で、でこべじに触れる機会を美味しく演出できることには大きな意味があると思っています。でも、それ以上に農家の人たちと消費者である私たちをつなげる「ハッピーの循環」を作りたかったとも言えると思います。

-「ハッピーの循環」とは?-

DECO-3RD-9

阿部さん:そもそも、「規格外野菜」という野菜が生まれるのはなぜかというと、消費者と農家の間に見えない壁があるからだと思っています。規格というのは、消費者が望む商品を提供するために流通側が作り出した「寸法」に過ぎません。つまり、規格外野菜が生まれる背景には、「消費社会」の中で望まれないモノは機械的に切り捨てるという、消費者目線に偏りすぎた社会システムの存在があるんです。その結果、消費者はスーパーに行けば画一的な野菜には触れることはできますが、その野菜を提供している農家の顔を見ることはできず、逆に農家の側からも、自分の生産した野菜がどこの消費者に届くのかも分からないという状況が生み出されています。つまり、両者の間には見えない壁が存在していて、互いの姿を見ることができていないのです。

DECO-3RD-3

「ハッピーの循環」というのは、こうした不透明な消費者と農家の間に、でこべじカフェという存在があることで、つながりを創り出し、「作ってくれてありがとう」と「食べてくれてありがとう」という両方向の「ハッピー」を生むという仕組みのことを指しています。

-そういえば、でこべじカフェの壁には来店したお客さんが、でこべじを提供してくれた農家さんに向けて書いたメッセージが貼ってあったりしますね。-

阿部さん:そうですね。でこべじカフェは農家さんとの関係を、とても大切なものと考えています。もちろん、それは規格外野菜を提供してもらっているというの意味もありますが、さっきも言ったように、本当の目的は、お客さんと農家さんを笑顔にするということ。お客さんには美味しい料理を振る舞う一方で、そうした料理によって、大切に育てたでこべじたちがお客さんの笑顔をつくっているということを、農家さんにも届けることで、笑顔になってもらいたい。そういう想いを常に忘れず運営していくべきだと思います。

DECO-3RD-21

そういう意味で、私たちは現在はカフェという形で活動していますが、そこにこだわる必要はないとも言えるのかなと。もし10年後にもでこべじカフェが存在していたとして、でもそれがただ単にカフェを運営するだけのものだったとしたら、カフェではなくて、もっと「ハッピーの循環」をもたらす別の何かにトライしていて欲しいなと思っています。

●「創る」創設者の想い、「つなげる」後継者の苦悩

DECO-3RD-22

さて、こうした創設者である阿部さんの想いを引き継いだ、「後継者」である3代目代表の岡田さんは、どんな想いででこべじカフェを運営していたのでしょうか?一般的に、新しい組織を立ち上げることよりも、新しい組織を引き継いで行くことの方が難しいとも言われています。創設者からバトンを渡された後継者には、創設者の持つビジョンを理解し、それを発展させて行かなければなりません。そこには、後継者にしか感じ得ない「苦悩」があったのではないでしょうか?

 

-農家と消費者をつなぐというVISIONを掲げた阿部さんの後を継いだ際、戸惑いはなかったですか?-

岡田さん:正直、戸惑いはすごくありました。私は3代目で、阿部さんは初代。一緒に活動するタイミングはあって、でこべじカフェが目指す姿というのは、ぼんやり理解していたものの、代表になって初めの頃は、どうしてカフェなんだろうと考えることもありました。例えば、私が代表になった時は、でこべじカフェが徐々に知名度が上がっていくタイミングだったんです。そうしたら、例えば自分たちで規格外野菜を売ればいいじゃないとか、今度ウチでやるイベントで料理を作ってよという声も聞こえてくるようになりました。そこで、初めてなぜ私たちは「カフェ」を運営しているのかなあと。

色々考えた結果、やっぱり自分たち自身で、農家さんとお客さんの間の「場」を創るということが大切なのではないかという結論に行き着きました。

-確かに、カフェだけじゃなくて、色々な機会を利用することで団体としても盛り上がりそうですね。-

岡田さん:はい。もちろん、私たちもでこべじカフェ自身だけでやっていく必要はないと思っています。例えば、昨年は京大カレー部さんともコラボしてみたりもしました。より多くの人に規格外野菜を届けるという趣旨から外れないなら、色々なチャンスにも踏み出して行きたいですね。

DECO-3RD-23

ただ、あくまでべーちゃんさん(阿部さん)が創ってくださったでこべじカフェのVISIONは大切にしたいと思っています。私は、1年生のころからでこべじカフェに所属していたのですが、2年生になってからようやく農家さんに実際に会いに行くようになりました。そこでは、農家さんの農作業を手伝ったりしていて、実際に野菜を作る大変さを知ることができ、改めて農家さんへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。でも、同時に、私がそうであったように、こうして農家さんに会ったことがないメンバーもいるんだなと気付きました。

-でこべじカフェのメンバーは、全てが農家さんに会うわけではないということですか?-

岡田さん:そうですね。べーちゃんさんの代に比べれば、私たちの代になると、でこべじカフェの「カフェ」の部分に惹かれて活動しているというメンバーもいることは確かです。そうしたメンバーの中には、農家さんには会わずに、カフェ運営の部分に関わる人もいます。でも、それはそれで良いと思っています。私も正直に言えば、でこべじカフェに入ったきっかけは「カフェ運営」という部分でしたし。でこべじカフェは農家さんとお客さんの間にハッピーを創り出すことを目的にしていますが、もちろん活動するメンバー自身もハッピーでなければ意味がありません。自分なりのハッピーなでこべじカフェの関わり方をするのは、良いことだと思いますね。

DECO-3RD-4

ただ、一方で、でこべじカフェのVISIONを本当に理解するメンバーも増やして行きたいなとも感じています。いまは、他のサークル活動に参加しながら、掛け持ちででこべじカフェに参加しているメンバーもいたりして、そうしたでこべじカフェの想いを共有することが難しい部分もあります。べーちゃんさんが創ってくださった、でこべじカフェですが、本当に10年後も続くような団体にしたいなと思います。時折、ふらっと帰って来てくれるでこべじカフェOGOBの方もいらっしゃるのですが、そうした時に戻って来れるような場所、まるで家族のような居心地の良い場所として、でこべじカフェを未来のために守って行きたいと思っています。

DECO-3RD-5


自らの問題意識を持ち、新しい活動を始めること。そして、その新しい活動を未来につないでいくこと。どちらも、難しいことだと思います。規格外野菜と食糧廃棄という問題に、カフェ運営というアイデアで立ち向かうでこべじカフェ。私たちは、普段美味しく食べるでこべじメニューの裏には、こうした想いや苦悩が隠れていたのです。京大から日本の農業のあり方を変えようと奮闘するでこべじカフェに、これからも目が離せませんね!

そして、みなさまご待望の次回カフェのご案内です!

【でこべじ七夕カフェ】

日時:7月5日(日曜日)
営業時間/11:00~17:00(L.O.16:30)
場所:魔法にかかったロバ(バス停「北野白梅町」から徒歩5分ほど)

https://www.facebook.com/mahoroba2011

メニュー:七夕ロール寿司(サーモンアボカド、大葉と金糸卵、茄子田楽の豪華3種盛り)、なすたっぷり☆夏野菜カレー、たっぷり野菜の七夕そうめん、冷製赤しそぜんざいなど。七夕限定オリジナルメニュー多数!

DECO-3RD-1

※詳細は、でこべじカフェFacebookページをご覧下さい。

 

998917_245339242316656_740990136_n

京大のセンス、ぎゅっと。

【協力】:でこべじカフェ

広告