【山中教授だけじゃない!】石油を水から作り出す!?革命的研究発表をした京大名誉教授・今中教授に独占インタビュー!

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エネルギーが枯渇する。近年、ニュースの話題に事欠かないエネルギー問題は世界的課題になっています。悲惨な3.11を乗り越え、いま日本では、エネルギー供給に革命をもたらす、ある画期的な技術が注目を浴びようとしています。それはなんと、『石油を水と炭酸ガスから生成する』というもの・・・!今回は、この新技術の発案者であり、京都大学名誉教授、『微生物工学』の分野で紫綬褒章を受賞したこともある今中忠行教授に、直撃インタービューした内容をお伝えします。


2015年11月。立命館琵琶湖キャンパス。

のどかな住宅街に広がる琵琶湖近くの広大な敷地に、今中忠行教授(以下、今中さん)が現在研究を行っているラボがあります。

3.11のあの悲劇は、世界に大きな衝撃を与えました。世界では『原子力エネルギー』への不信が高まる一方で、『枯渇する』と言われている石油に代わる新エネルギーを生み出す闘いが、世界中でいまも続いています。もし石油がなくなったとしたら、現在の暮らしが大きく変わることは間違いないでしょう。私たちが着る衣服ですら、石油によって作られているのですから・・・。

しかし、ここで1つの疑問提起をしてみます。

果たして、本当に『石油は枯渇する』のでしょうか?

今回ご紹介する技術が実現すれば、それは世界のエネルギー問題に劇的な解決策を提示し、大きなイノベーションを生み出すことは間違いありません。もちろん、これは画期的であるがため、十分に真偽について議論していかなければなりません。ただ、『変わりたくないなら、変わらねばならない』ということ。人類が直面するエネルギー問題に切り込み、変化を起こさんとする今中教授、その挑戦に、SENSE KYOTOが迫りました。

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●意外なほど低い『エネルギー革命』の露出度

今年2015年の9月に発表された記者会見の存在を、みなさんはご存知でしょうか?

現在、立命館大学総合理工学院生命科学部で研究を行っている今中さんが発表した内容は、多くの人の反響を呼びました。なぜなら、その内容が『水と炭酸ガスから石油を生成する』というものだったからです。

ところで、もしこの記事をお読みになっている読者の方には、この発見について知らない人がいるかもしれません。実現すれば世界を変えることは間違いない発見なのに、意外にもその露出は限定的です。なぜでしょうか。

この謎を解き明かすために、私たちSENSE KYOTOは実際に今中教授に、その真相を伺いました。

●露出を阻んだ2つのファクター

この謎の答えは、端的に2つの要素によって説明できると今中さんはおっしゃっていました。

1つ目の要素は、安保法案関連の騒動です。今中さんが発表を行った頃、世間を賑わしていた話題は、もっぱら安保法案。つまり、安全保障関連法案に関する、日本中を賛成反対の両派に分断した議論でした。この安保法案関連の報道の過熱が、今中さんの発表の露出を阻んだのではとのことです。

2つ目の要素は、2014年に起こった『STAP騒動』。STAP細胞という革新的発見をしたとされた小保方さんが、一転して転落していく姿は、世間に『画期的すぎる科学的発見への不信感』を与える結果につながりました。当初、小保方さんを持ち上げていたマスメディアは、STAP細胞の存在が否定的になるや否や、手のひらを返したような報道を行ったとされています。今回の今中さんの発表の際も、その『トラウマ』がメディアの報道への躊躇いを招いたのでは、というのです。

しかし、裏を返せば、こうした今まで以上に研究発表への目が厳しくなっている状況下を理解した上で、研究発表を行った今中さんの心理を考えれば、そこに揺るぎない自信を感じ取ることができるのではないでしょうか。

●研究発表の中身は、一体どんなものだったか?

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【PHOTO】:ximena

シンプルに言うと、『活性化した水と石油を混合してミセルをつくり、そこに炭酸ガスを含ませることで、水分が減少して石油が増量される』ということ。これを言い換えれば、『水と炭酸ガスから石油を作り出せる』ということになります。

以下、この研究の特徴をわかりやすくご説明します。

●新発見を形成する4つのステップ

ステップ1 : ナノバブルを水中に滞留させる
ナノバブルとは、微細な気泡のこと。通常、酸素を水中に注入すると、大きな気泡が形成され、水面上に上がっていってしまいます。(ちょうど炭酸水の中の気泡が上昇していくようなもの。)一方、ナノバブルの場合、数十マイクロメータ以下の気泡として水の中に上手く注入すると、水の表面張力でどんどん圧力がかかり、超微細な気泡となり、水面上に上昇せず、水中にうまく滞留します。したがってナノバブルは水の中に溜まっていきます。

ステップ2 : 光酸化触媒でナノバブルをラジカル状態にする
触媒とは、『自らは反応前後では変化しないが、特定の化学反応を促進させる物質』のこと。光酸化触媒は、紫外線光をあてることで物質の反応を促す触媒です。通常のプロセスでは難しい反応を、常温で可能にすることもできます。

酸素のナノバブルが多く滞留している水を、水中に設置した二酸化チタンなどの光酸化触媒を詰めたカラムに通します。そして、水を循環させつつ紫外線を照射します。すると、酸素が紫外線によりオゾンに変化します。そのオゾンが、光酸化触媒と反応し、活性酸素種すなわちラジカルを発生します。ラジカル状態とは、通常電子が対になって安定化している原子や分子に熱や光などの強いエネルギーを与えることで、不安定な不対電子になった状態を指します。結果、一酸化炭素と水素が発生した、化学反応を起こしやすいラジカル状態の水ができます。

ステップ3 :ラジカル状態にした 水と石油を混ぜる

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上図:ミセル状態の水

ラジカル状態になった水に、石油を激しく混ぜ合わせます。すると水中に白濁した『ミセル』が発生します。ミセルとは簡単に言うと、油の層が外殻となって水を包み込んでいる状態です。このミセル内部や周辺部では、本来水に溶けない物質も水に溶けたようになります。

今中さんの説明によると、これまで石油を作ろうとしてきた人々は、油を加えずに作り出そうとしていたから失敗してきたと言います。しかし、今中さんはむしろ、元となる石油を利用することで、『1の石油から、100の石油を作り出す』ことを目指しました。多くの人が測定誤差と反論されることを恐れて、『0の石油から1の石油を作る』ことを目指していたこととは、対照的です。

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上図:静置後に油層と水層に分離した状態

 

ステップ4 : ミセル状態の水に炭酸ガスを加えて、ラジカル重合を発生させる

最後に、ミセルの中に炭酸ガス(二酸化炭素)を加えると、ステップ2で生じた一酸化炭素と水素が化学反応を起こし、炭化水素が発生します。炭化水素とは、つまり石油のこと。また、ラジカル状態とは、極めて不安定である一方で高い反応性を持つ状態です。ミセル状態という閉鎖空間で、ひとたびラジカル状態にエネルギーを加えると、連鎖反応的に反応が進んでいく『ラジカル重合』が発生します。自然エネルギーに例えるなら、坂の上にある球を指一本でつつくと勝手に下まで転がっていくといったイメージです。こうして、ラジカル反応が連鎖的に発生することで、ミセル内部の水が減少し、石油がどんどん生成されるというのです。

 

以上の4つのポイントを駆使することで、以下の9つの特徴が導けます。

①常温常圧で合成できる

これは、特殊な環境をつくるコストがかからないことを意味します。従来の『エネルギー生成に必要だったエネルギー』の利用が不要な分、必要なエネルギー量が大幅に削減されるのです。

②元の油と生成される油の総発熱量が等しい

生成した石油をガスクロマトグラフィーで検証すると前後で成分は変わらなかったのです。これは、生成される石油の質が変わらないことを意味します。つまり、軽油からはほぼ同質の軽油が。灯油からはほぼ同質の灯油が生成されます。基本的に、地層から採取された石油は『原油状態』であり、黒くドロドロの状態です。それを精製することで、ようやく私たちが自動車や灯油ストーブに使えるような『エネルギー』に変わるのです。元となる石油と同質の石油が生成されることで、『精製するためのエネルギー』が不要になります。

③生産性が高い

生成される5〜10%の石油は数分で生成できることを意味します。

④経済効率が驚異的に良い

約3円の電気代で、約100円分の石油が生成できるとされています。つまり、経済効率は約35倍です。一方、例えば火力発電は、投入したエネルギーを100とすると、40程度のエネルギーしか生み出すことができないと言われています。

⑤環境に優しい石油を生成できる

この技術を使えば、もともと純度が高い石油から生まれた石油は精製する必要がありません。つまり、できた石油を燃焼させても、大気汚染の原因とされる化学物質SOx(ソックス),NOx(ノックス)が排出されません。この技術は、環境にも優しい技術なのです。

⑥地球温暖化ガスを削減できる

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【PHOTO】:– POD –

現在の一般的な科学的見解では、炭酸ガス(CO2)は『地球温暖化ガス』の1種と推定されています。この技術は、『水と炭酸ガスから石油を作り出す』というもの。だとすれば、炭酸ガスを消費することで地球温暖化ガスの削減につながるということになります。

⑦完全にカーボンニュートラル

カーボンニュートラルとは『排出するCO2と吸収されるCO2の量が等しい』ということ。当然、この技術を使用して石油を生成する過程で、エネルギー消費は発生します。しかし、従来の石油生成に比べて格段に小さなエネルギー消費で済むため、結局消費する炭酸ガスとほぼ同量程度のCO2排出になるということです。

⑧石油があと30年で枯渇することは『嘘』になる

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【PHOTO】:NASA’s Marshall Space Flight Center

メディアで盛んに報道されているエネルギー問題。石油があと30年で枯渇するというフレーズは、読者の皆さまも聞いたことがあるかもしれません。しかし、実はこれは『嘘』ではないかという主張が近年、徐々に叫ばれるようになっていることをご存知でしょうか?

・石油は有機物から出来ている

石油が枯渇するという主張は、『石油有機成因説』と言われています。有機、つまり生物の死骸から石油が発生しているのではという主張です。海底に堆積した生物の死骸が断層の動きの中で地層内部(つまりマントル方向)に引き込まれます。その引き込まれた地層内部で、ゆっくりと死骸が石油へと変化していき、海底油田が形成されるというのです。実際、石油には死骸が石油に変化するには、非常に時間がかかるため、現在ある石油を使い切ることは、石油枯渇を意味すると主張されています。

・石油は無機物から出来ている

一方で、この主張に真っ向から対立する主張が『石油無機成因説』です。実はこの説、化学では馴染み深い周期律表をつくったメンデレーエフが提唱したことでも有名なのです。根拠としては、石油が生物由来だとしたら考えられない超深度の地層から、石油が採掘された例などが挙げられています。この場合、石油は地球内奥部のマントル付近で無限に生成されている可能性すら指摘されています。石油枯渇は実は夢物語だというのです。

今中さんの発見は、石油が無機物から生成可能であることを証明するものであり、この石油無機成因説を強力に後押し証拠になると言われています。そう、現在も自然に地球上で石油が作り出されている可能性が高まったのです。

⑨安価な燃料を用いることが可能に

現在、世界有数の経済大国である日本。その経済の動力源であるエネルギーの自給率がいくらか、ご存知でしょうか?驚くべきことに、たった『5%』と言われています。今中さんの新しい発見は、この著しく低いエネルギー自給率を打開する一手になる可能性があります。なぜなら、質が高く、安価な石油を無限に生成することができるため、これまでのように一方的に石油を海外に依存する必要がなくなります。むしろ、この発見の特許権を日本が握ることで、エネルギー業界における日本の国際競争力を大幅に高めることすら可能になるかもしれません。

 

この理論が全て正しいとしたら、世界のエネルギー情勢に革命が起こることは間違いありません。地球温暖化、資源枯渇、大気汚染など、現在メディアを賑わす世界的な環境問題が、あらゆる方向で問題が改善していくと思われます。

 

●ネット上での賛否両論の声に対する反論

インターネットで今中教授の研究発表について検索すると、様々な意見がみられます。多くの意見が、『単に石油が薄くなっただけでは?』というような、研究発表に対する懐疑的な意見です。

しかし、今中さんは本当に自信を持ってこの研究が真実であることを主張されました。

そもそも、人々が新発見に懐疑的になる背景には、これまで石油業界では、偽物の石油生成技術がいくつも発表されてきたという事情があります。その際たる例が、石油を水で薄めただけのものを石油として売りつけるという、ある種『詐欺まがいな行為』です。しかし今回の今中さんの研究は、JIS(日本工業規格)の認定に則ったもので、研究の質はお墨付きとのことです。

今中さんは、微生物工学の分野で世界的な権威。2010年にはその功績を称えられ、紫綬褒章を受賞されたこともあります。そうした誉れ高い名誉を頂いた上で、『嘘』の発表を行う理由が見当たらないのではないでしょうか。革新的な技術は、初めは賛否両論がつきもの。この技術が世界を変える可能性があるなら、信じてみる価値は大いにあります。

●早ければ来年にも実用化したい!

現在は日本と世界、両方の特許に申請中とのこと。来年からの実用化に向けて、今も日々活動されています。今の人生の夢を伺った所、『石油研究を通してエネルギー革命を起こすこと』と『微生物研究を通してタイなど途上国の水質浄化に貢献すること』を挙げられました。前述のナノバブルの技術は、実は水質改善にも応用できる技術だそうです!研究を楽しみつつ、研究を世の中のために役立てるという思いで、研究に取り組まれています。

●今中教授は情熱溢れる70歳!

情熱的に研究内容を説明してくださる今中さん。実は、今年で70歳になるとのこと!以前は京都大学で教鞭をとられており、63歳で定年退職(京大名誉教授)後、立命館大学の生命科学部で再び教鞭を取ることに。そして、ようやく2015年春に教壇から降り、研究に専念することになったといいます。過去には微生物研究で名誉ある賞をいくつも獲得していて、世界中でもその名を知られた権威なのです。

そうした実績も素晴らしい一方で、実際にお話を伺って感じたのは、人柄の素晴らしさと研究に対する人並みならぬ情熱。名誉ある賞を受賞したからといって奢ることなく、私たち京大生の取材にも非常に好意的に協力して下さりました。大学教授というと様々な方がいらっしゃいますが、今中さんは良い意味で『近所の良いおじさま』のような、気さくな方でした。

京大での教授時代は、学生の卒業論文をみるといったような学生の育成に多くの時間を使っていたため、自身の研究に思うような時間を割けなかったそう。(とはいえ、微生物分野で大きな成果を残されていますが・・・!)定年退職後に立命館大学に来てからは、好きなだけ自分の研究に専念できているようで、今の環境が今回の発表につながっているのかもしれません。

●京大生へのメッセージ

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【PHOTO】:Thomas Fisher Rare Book Library, UofT

最後に今中さんに、京大生へのメッセージをいただきました。
「学生や研究者にとって大事なのは、どうすれば世の中に貢献できるかを常に頭の片隅で考えておくこと。目先の課題や論文も重要だけど、自分の夢を頭の片隅に常に置いておく。そうすれば長い人生の中で、何回か閃く瞬間があるんです。もし、それを意識していなかったら、その閃きには気づくことはできない。人生のうち何回かは起こる閃きに気づき、それを活かせるかどうか。

そのために、『頭の中を真空にする』ということを意識してほしいです。

真空とは、全てを吸収する空間。瑣末な知識は、今の時代ネットや本で得ることができます。だから、常に夢を持つ。頭の中を真空状態に保っていれば、本当に必要な知識は勝手に染み込んでくる。だから、自分だけの夢を追い、自分にしかできないことは何かということを、常に頭の片隅で考えておいてください。未来を作る京大生の皆さんに、期待しています。」


 

70歳にしてなお、情熱的に夢を追い続けるその姿。

教科書に載っている常識にとらわれず、常に自分の頭で考え、夢を持っていま自分に必要な行動を実行していく。そうすることで、世界にイノベーションを起こせるのかもしれません。

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京大のセンス、ぎゅっと。SENSE KYOTO

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