【京大生の必読書!!!】「森見登美彦」ワールド探訪記

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京大生なのに森見作品を読んだことがない?!

そんな京大生の皆様、一緒に森見登美彦ワールドを探検しましょう!(半ば強制)

 

『四畳半神話大系』という作品に出てくる場所を中心に、森見ワールドを主人公の目線で再現してきました。


森見さんの略歴をごく簡単にご説明します。作家の森見登美彦さんは、奈良県出身で京都大学農学部・農学研究科に所属され、在学中に『太陽の塔』でデビューをされました。以来、『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半神話体系』などたくさんの作品を執筆され、日本ファンタジーノベル大賞を筆頭に様々な賞を受賞されています。作品がアニメ化されたり舞台化されたり、最近では池澤夏樹編「日本文学全集」で「竹取物語」の新訳を担当されていたりと活躍の場は多岐に渡ります。

 

京大生は皆森見作品を読んでいる、京大入学前の筆者はそう思い込んでいました。なぜか?それは森見作品の多くが「現役京大生が読むともっともっと面白い」ものになっているからです。森見作品には、

  1. 主人公は大体京大生
  2. 京大周辺の実在する地名や店名が詳細に書き込まれている

という特徴があります。

1:大学生(京大生)のリアルな日常風景とポップな非日常世界が混然一体となったストーリーが森見作品の魅力です。主人公は一回生の春には大量のサークルのビラを抱えて途方に暮れ、ある日の財布の中身は五百五十円のみ、クリスマスイブの予定はもちろん「バイト(寿司屋)」であり、連日魚肉ハンバーグを食い、トースターで焼いた油揚げを食い、午後二時に起きて「朝ごはん」を食べます。他方、叡山電車に乗って元カノの夢の中に迷い込み、延々と続く四畳半パラレルワールドで80日間さまよい続け、「地に足をつけない生き方を思い描く」という妄想飛行術によって空を飛びます。

2:京大周辺の地名や店名が頻繁に出てきます。例えば「下鴨本通」「御影通」「吉田神社」「進々堂」「からふね屋」「時計台」「北部構内」…京都から遠く離れた田舎町に住んでいた筆者には、それが実在すると知りつつ想像するしかありませんでした(あるいはストリートビューで眺めるくらい)。ところが京大生ならどの場所にだって自由に行くことができます。しかも登場人物たちがしていたように、夜の下鴨神社を散歩することだって中央食堂で温泉玉子とほうれん草のおひたしとおみそ汁で御飯をもりもり食べることだって百万遍交差点をフェラーリの旗を持って横切ることだって(やろうと思えば)できる。

森見作品を最もありありと実感を持って楽しめるのは京大生以外にいないでしょう。ですがいざ入学してみると森見作品を読んでいる人はそれほど多くないのです。京大生なのに森見作品を読まないなんてもったいない、と筆者は思います(別に裏で森見さんから何か受け取っているわけではありませんが)。

 

「森見登美彦作品聖地巡礼」自体は多くの方がなさっているので網羅的な聖地巡礼は先人の方々のものを参照していただくとして、今回は

・同じ大学生として主人公の見ている世界を、シーンの雰囲気を含めて再現する

・地の利を生かしてちょっとマニアックな場所に行ってみる

という2点にポイントをしぼって聖地を巡ってみました!該当シーンの引用と出典も記載していますので、本をお持ちの方は参照しつつ読んで頂いても面白いと思います。

 

 

 

 ①レストラン まどい

 

「会談は百万遍南西の「まどい」にて行い、あくまでついでながら夕食を一緒にとることにした。」 (『四畳半神話大系』第一話より引用)

 

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なんだか京都議定書の採択でも行われていそうな重厚な言い回しですが、実は主人公が後輩の女の子を初めてごはんに誘うシーンです。もう内心嬉しくて嬉しくてしょうがない感じ。

ここでは学生価格でとても美味しく且つボリュームもある洋食が食べられます!手前のお料理は人気メニューのミンチカツレット、奥はカニクリームコロッケ。店内は歴史を感じる良い雰囲気でした。主人公はいろいろな点で「駄目な奴」として描かれているのですが、この店のセレクトにはセンスを感じます。

 

 ②百万遍交差点

 

「牛丼屋にて朝食をとり、私が二人分の会計をすませているうちに、樋口師匠はすでに百万遍から鴨川へ向かって悠然と歩き始めていた。(略)かすかに靄のかかった五月の青空が広がっていた。」 (『四畳半神話大系』第二話より引用)

 

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百万遍の交差点にて、主人公が先輩の樋口師匠と朝ごはん(「たまごかけごはん朝食」でしょうか?)を食べる場面。この時間は閑散としていますが、始業間近になると交差点の四つ角が京大生で埋め尽くされます。

 

 ③カフェ コレクション

 

「大学へ出かけて日がな一日、講義だ実験だと立ち回ったあげく、私は喫茶コレクションにて夕餉の明太子スパゲティを食した。」 (『四畳半神話大系』第三話より引用)

 

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ここは有名ですね。実際のメニュー名は「たらこスパゲティ」なのでご注意ください。大学のすぐそばにあり、取材に行った日も大学生らしき男性客の姿が。パスタのみならず、ご飯もの、トースト、ケーキ、また様々な飲み物も頼めるので、お昼ご飯を食べに行くもよし、お茶をしに行くもよし。

 

最後は、

④猫ラーメン

作中に何度も登場する、「猫ラーメン」のモデルではないかと言われる屋台ラーメン「はらちゃんらーめん」へ。

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出町柳駅から少し離れた橋のたもとに出現します。営業は不定期、メディア取材も基本おことわりだそうですが、驚くなかれ、はるばる台湾からやってくる森見ファンのお客さんもいるとか。

店主の方にお話を伺ったところ、実際に森見さんはこのお店に来ていたそうです!いち森見ファンとしてはそれだけでもうおなかいっぱいという感じです。が、お客さんに「猫ラーメンのモデルなんですか?」と聞かれてもちょっと返答に困る、店主の方はおっしゃっていました。確かに本当のことは森見さんご本人しか与り知らぬところではありますが、まさに「あの」猫ラーメン!と言いたくなるような雰囲気でした。

 

 

 

番外編:理学部植物園

 

「学生時代の私が主戦場としていたのは、大学構内にある「理学部植物園」でありました。」 (『美女と竹林』より引用)

 

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一般公開を目的とした施設ではないので通常は見学するには申請書が必要ですが、学生なら口頭でのお願いでも入れてくれます。ただし、「十分気を付けて。できれば2人以上で入って」との忠告を頂きました。一体どういう点で危険なのかよく分かりませんが、恐ろしいので竹の写真だけ撮って早々に退散してきました

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取材をしてみて印象的だったのが、今回ご紹介したお店はどこも「森見作品に取り上げられました!!!」といった主張が全くなかったことです。そんな気取らないお店だからこそ、森見さんのお気に入りであり、また京大生の日常の一コマとして作品に登場させたのかもしれません。

 

…筆者の及ばない筆力では森見作品の魅力は到底伝わりきらないでしょう。記事の執筆者としてやや職務怠慢ではありますが、とりあえず一冊、手に取ってみることを強くおすすめします。

森見ワールドに一歩足を踏み入れれば、京大生であることや京都市左京区に住んでいることがもっと楽しくなること請け合いです。

 

 


文:おじゃまたくし

 

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