現在、京都大学農学部森林科学科4回生の出垣奈生子(でがきなおこ)さん。今年の春から、なんと自分で作ったパンを大学構内で売っています。大好評となっているそのパンの美味しさはびっくりするほど。出垣さんのパンに対する思いや、今後やりたいことについて伺いました。
●パン作りのきっかけは、ある日出会ったメロンパン
出垣さんはもともとお菓子作りが趣味でよく作っていたそうですが、一年程前にある出来事をきっかけにパンを作り始めました。
それはある日、移動販売のパン屋さんでメロンパンを買った時のこと。その時に食べたメロンパンがとてもさっくりとしていて美味しく、忘れられない味となったそうです。
しかしそのパン屋さんはそれ以降二度と見つかることはなく、出垣さんは自分でそのようなメロンパンを作ってみようと思い立ちます。
作ってみると、さすがはお菓子作りが趣味の出垣さん。なんとそのお店に近いメロンパンの味を再現することができ、それがきっかけでパン作りにはまっていきました。
そんな姿を見た友人が「パン屋さんをしたら?」とすすめたこともあり、出垣さんは大学構内で知り合い向けにパンを売るようになりました。粉や酵母からこだわって一つ一つていねいに作られたパンは大好評で、時には教授まで買いに来るのだとか。いつも出垣さんのパンを買うお客さんの一人は「もうコンビニのパンは食べられなくなった」と言うほどの出来栄えです。
●実際にパンを食べてみると…
(なんと取材当日、出垣さんは私たちのためにパンを焼いてきてくださいました。本当に感激・・・・・・!)
こちらが頂いたパンです。
まず見た目のあまりの可愛さにびっくり。コンパクトで、上品かつ洗練されていて、なんて美味しそうなメロンパン…!
食べてみると、中身がきっしりとつまっていて、口の中にふわっと広がる甘さ。外の皮のさっくり感もたまりません。お世辞抜きで、こんなにも美味しいメロンパンを初めて食べました。これが毎日食べられたら幸せだろうなあ…。
おいしいおいしいと言って食べる私たちをニコニコと見守る出垣さん。やはり、自分の作ったパンを誰かに「おいしい」と言ってもらえることが何より嬉しいのだそうです。パンについて語る出垣さんを見ると、パンを作ることを生活の一部として本当に楽しんでいるのが伝わってきます。
町のパン屋さんと並ぶほどのクオリティなのに、出垣さんのパンの価格は大学生に食べてもらえるようにと控えめ。ここにも純粋に“自分の作ったパンを食べてほしい“という思いが表れている気がします。
●おしゃれでラグジュアリーなパンを
出垣さんが目指すのは、おしゃれでラグジュアリーなパン。そのようなパンを作るために、日頃からTwitterやInstagramで他の人がつくるお菓子やパンを見て研究したり、製菓材料専門店に行っておしゃれな材料を揃えたりしているそうです。
(出垣さんが実際に作ったパンの写真)
何度も試作を繰り返し、今までに作ってきたパンの種類は数えきれないほど。某料理教室のパンの講師のライセンスまで取得してしまうという本気ぶりです。
●「パンって、なんか生き物みたいやな」
なぜ、お菓子作りよりもパン作りにこだわるのか。
「パンって、なんか生き物みたいやなって思って…。発酵してたりこねたりしてたらなんかこいつ可愛いしプ二プ二やなって。パンを可愛がるようになって、すごくパン作りにはまっていきました。」
パン生地がうまくまとまらない時はパンの機嫌がわるいとき。そんな風に話す出垣さんからは、自分がつくるパンがかわいくてたまらないという愛情を感じます。
●今後の挑戦
現在は、所属している大学の研究室の近くでTwitterなどの告知を見て来てくれた友人や教授などに手渡しでパンを売っていらっしゃるという出垣さん。
こうやって大好きなパンを作り続けて、ゆくゆくはパン屋さんとしてお店を開くか、パン教室の先生をしたいそうです。
(「パン屋さんはやりたいけど、大量に作らなきゃいけないから一つ一つを可愛がれないなあ…。」と、まだどちらにするのかは迷っているご様子。悩む様子を見せながらも、自分のやりたいことを本当に楽しそうにお話ししてくださいました。)
その夢への第一歩として今挑戦しようと思っていることが、毎月15日に百万遍の知恩寺境内で行われる手作り市にパンを出品することだそうです。
自分のやりたいことに対して忠実に、楽しみながら着々と進んでいる出垣さんは誰もが応援したくなってしまうような女性だなと感じました。
今後パンの販売情報やイベントの出店情報については出垣さんのTwitterアカウント(@Nyao_entreMets)にて掲載されるご予定なので、ぜひ、フォローしてみてはいかがでしょうか。
パンの受注販売もDMをいただけたら対応可能であるとのことです。
手作りパンで、しあわせなひとときを。
京大のセンス、ぎゅっと。SENSE KYOTO