【南極で石拾い!?】京大教授インタビューシリーズ第二弾 総合人間学部 石川尚人教授

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〇いざ、南極へ

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―やはり南極へ行くのは相当な覚悟が必要ですよね?

石川教授:いや、それが意外とあっさり決まっちゃってね(笑) 「石川くん南極いかないか?」って聞かれたから「はい、行きたいです!」って軽いノリで(笑) 「そうだ、京都行こう」みたいな(笑) 初めて行った時は、日本から南極まで船で行ったよ。今は、オーストラリアまでは飛行機で、そこから南極までが船だけど。そのまま南極で越冬して、計1年4か月程度の旅だったな。

―過酷そうですね。

石川教授:いや、実際気候的にはそこまで過酷ではなかったよ。向こうの夏の期間は気温は大体プラスマイナス5℃くらいだったしね。僕らが越冬した時の最低気温は―39℃だったんだけど、旭川の最低気温が―41℃を記録したことと比べたら、そんなとんでもなく寒いってわけでもないよね。
もちろん内陸部はそんなもんじゃないよ。僕等がいたのは沿岸の昭和基地だったからまだよかったけど、内陸だと―79℃とかになるんだ。だから僕が行ったところは他と比べたらそんなに過酷ってわけでもなかったな。
それでも、やまと山脈の調査の訓練として、8月の真冬に海氷上でテント暮らしをしたときは寒いなーって思ったね。それと、リーセルラルセン山の調査の時の風は尋常じゃなかった。その時僕らは小屋暮らしをしていたんだけど、小屋が風で浮く感じがしたね。あと、食糧不足になったときは、一日ジャガイモだけで生活したこともあったな。食料の詰め忘れがあって、急きょ「おい、食糧計画見直すぞー」って言ってね。あれはさすがに大変だったな(笑)

 

〇南極で石拾い!!

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石川教授:石を集めに行ったときは死ぬ思いだった。僕は登山経験がなかったからとても辛かったよ。先輩方は僕より10歳も歳が上なのにすいすい登って行って、「若いのに何やってんだ」ってからかわれたりしたな(笑) いろんな地点を回って、そこにある石を収集したら次のポイントに行くっていう感じで集めていたよ。

―5億年とか10億年前の石が簡単に拾えるんですか?

石川教授:うん、南極は植生がないから石が見つけやすいし、日本のように風化が進行しないから、比較的新鮮な5億年とか10億年前の石が地表に出ているんだよ。

 

 

〇南極基地にバー!?お誕生日会!?

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石川教授:昭和基地は南極から5キロくらい離れた島に積み木みたいに建てられているんだ。中には、電波や気象の観測小屋、隊員の個室、食堂、医務室、娯楽室、お風呂とかがあったよ。

―娯楽はあるんですか?

石川教授:娯楽?娯楽はいっぱいあったよ(笑) まず、基地にはバーがあるんだ。隊員が代わる代わるバーテンダーを務めるんだよ。バー係って言ってね(笑) そこにはビリヤード台があったり、エレクトーンがあったりして、楽器を持ち込んで演奏する人とかいたな。最近はトレーニングルームもできたね。
それと僕らのときは40名で越冬していたんだけど、毎日同じ人とばっかり顔を合わせていると気がまいっちゃうから、やっぱり生活に変化がほしいっていうことで月に一度誕生日会とかやってたよ。幼稚園みたいでしょ(笑) そういうときは調理担当の方がケーキとか用意したりしてね。
あとは、体育大会があって海の氷の上でソフトボールやったりサッカーやったりして楽しかったよ。イベントでいろんなお祭りもあったね。

 

〇南極版NF、ミッドウィンター祭って?

石川教授:一番でかいお祭りはこっちの夏至のとき、要するに向こうの冬の真ん中、太陽が出ない時期にやるミッドウィンター祭だね。そのときは南極の基地すべてが一斉にそのお祭りをやるんだ。国も地域も関係なくね。お互いの基地で通信しあってやりとりして。大体四日間くらいやるんだよ。一か月前、二か月前には実行委員会ができたりして、結構壮大なお祭りなんだよ。お祭り中は演芸大会やったり、麻雀大会やったり、クイズ大会やったり。NFみたいでしょ(笑)

 

〇オーロラは絶対生で見るべき!!

―オーロラとかも見られるんですか?

石川教授:オーロラきれいだよー。あのね、これ何度も言ってるんだけど、オーロラだけは絶対生で見た方がいい!よくテレビとかでも映像が流れていたりするけど、生で見ると全然違うから。ウェイクアップって言ってオーロラが活発に動くときはものすごいよ。色とか形とかがわーって変わっていくんだよ。あれは自分の目で見たほうがいい!

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PHOTO BY Image Editor

―本当にそんなにきれいに見えるんですか?

石川教授:見えるよ。ただ俺はその時寝てたな(笑)

―寝ていたんですか(笑)

石川教授:オーロラを観測しているチームから、今日は綺麗なオーロラが見られますよって言われると、最初は「よし、行くぞ」なんて言ってみんなで見に行くんだけどさ。やっぱり人間慣れちゃうと良くないね(笑) だんだん飽きちゃうんだよね。「今日のやつは大したことないなー」とか言ったりしてさ。 そうするとこういうのを見逃すんだよ(笑)

 

〇きっかけは中学生の時に出会った本

―そもそもこの分野に進もうと思ったきっかけは何ですか?

石川教授:中学生の時にこの「地球の科学 -大陸は移動する-」っていう本を見つけて読んでみたんだ。それにすごい惹かれたんだろうね。それまで、大陸が移動するなんて知らなかったからさ。地磁気の話とかも載っていてね。地磁気が北と南で逆転するなんて本当かよーって、とっても驚いたんだよ。これを読んで地球科学の分野に興味を持ち始めたんだ。中学生高校生でこういう分野を選ぶ人ってなかなかいないんだよね。高校のときに地学Ⅱを取ろうとしたら二人しか希望者いなかったね(笑)
その後、京大理学部に入ったら、僕が今やっている古地磁気学に出会ってね。最初に地球磁場の逆転を言った人が、僕が進んだ講座の初代の教授だったんだよ。それで本格的にこの道に進むようになったね。そして何より研究室の雰囲気がとてもよかった!あの時楽しく研究できたからこそ、今もこうやって続けているんだと思う!やっぱり京大の柔らかい雰囲気が僕にはあっていたんだね。

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―大学時代はどんな学生だったか教えてください。

石川教授:大学のときはラグビー部だったんだ。高校のころに、正月にテレビでやってるのを見て、やってみたいなと思ってね。走ることも好きだったから。ただ、練習はきつかったね(笑) 一回練習があまりにきつく感じてラグビー部やめちゃったんだよね。昔から習い事とか続かないたちだったんだよ(笑) それで一時期はぶらぶらしていたんだけど、しばらくすると「やっぱりラグビーがやりたい!」って思ってもう一回戻ることにしたんだ。一度戻ると自分の中でも割り切ってやれたね。かっこいいことを言ってるみたいだけど、大学時代はラグビーと”勉強”を頑張ってやっていたね。三限が終わると、「すみません、ラグビーの練習行ってきます。」って言って教室抜け出してたよ。あの時代だから許されたことだけどね(笑)

 

〇好きなことにのめりこめ!!

-最後に京大生に向けて一言お願いします。

石川教授:もうわかってると思うけど、僕は今まで自分が好きなことしかやってこなかったんだよ(笑) だから皆さんにも、とことん好きなことにのめりこんでやってほしいと思う。それと、京大にあるもの、例えばシステムとか施設とか、そういうものを自分から積極的にアプローチして使い倒してほしい。教員なんて最たるものだからね(笑) 次の自分への踏み台としていろいろなものを活用するべきだと思う。


石川教授は現在、エチオピアでのアフリカ大地溝帯の動向に関する研究を行っています。エチオピアは今まさに大陸分裂の真っ最中であり、陸上でありながら海ができるプロセスをリアルタイムで観察できる最もホットなところらしいです。今後は趣味と研究を兼ねて、自分がまだ行ったことのない「地球の息吹を感じることができる場所」へ行ってみたいそうです。

石川教授の自分の人生をかけて好きなことに一直線に取り組む姿はとても勇ましく、同時にそんな生き方がとても羨ましく思いました。現在、就活や研究室配属など自分の進路で悩んでいる京大生の皆さん。皆さんにも、自分のやりたいこと、好きなことがきっとあると思います。せっかく京大に来たのだからそれを最大限活用して、ただがむしゃらに好きなことを追いかける生き方も選択肢の一つとして考えてみたらいかがでしょうか?

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